先日、錆だらけの包丁の錆を落としました。

本日、錆がある程度無くなった包丁の錆をさらに落としたい、そして、より鋭利な刃先を作り出したいと思いまして、包丁研ぎに勤しんでいたのですが、ものの見事に右手親指をすっぱりと切ってしまいまして、自分でもどうやったら包丁研ぎの最中に右手親指をすっぱり切ってしまうのか理解に苦しむのですが、それはそれは見事な切り口が誕生しました。

肩から手にかけてのラインが切れることには割と慣れっこですが、今回は予想外のカッティングでございまして、切れた瞬間は親指をただただ眺めていたのですが、かなりの勢いで血が流れ出しまして、慌ててティッシュをあてがったのですが、そのあてがったティッシュを最後にティッシュ箱がからっぽになりました。きみ、タイミング悪いよ。

とりあえず消毒と絆創膏と思い収納スペースに突っ込んだ段ボール達を出しながら探してみるも、利き手であるところの親指が動かせない状況なのでなかなか捜索作業が進まず、ようやくみつけた消毒液を傷口に噴射すべく容器を思いっきり握ったところ容器が木端微塵に砕けやがりました。砕けた瞬間に、『えっ!?』という独り言を割と大きな声で発してしまった。消毒液の顔射というありがたいんだかありがたくないんだかよく分からない貴重な体験をしました。多分、プラスチックが劣化していたんですね。弾性と塑性のお話ですね。

ティッシュも無くなる、消毒液の容器は木端微塵、絆創膏は見つからない、という状況にやきもきしながら最初で最後のティッシュを親指に巻いて左手で力強く握っていたのですが、無いものはしょうがない、人間は諦めが肝心という結論に至りまして、予定通りの行動を取ることにしました。予定では包丁研ぎの後は入浴だったので入浴しました。

歯を磨いては滴ってくる歯磨き粉水溶液と傷口のコラボレーションに悶絶し、シャンプーと傷口のコラボレーションに悶絶し、トリートメントと傷口のコラボレーションに悶絶し、ひげ剃りシェービングと傷口のコラボレーションに悶絶し、ボディーソープと傷口のコラボレーションに悶絶し、洗顔フォームと傷口のコラボレーションに悶絶しました。聞くに耐えない呻き声を上げながら入浴した男がここに居ますよ。ビール片手に読書しながら2時間湯船に浸かっていた時以上に体力を消費しながら入浴しました。

お風呂から上がっても傷口から溢れ出す血が相変わらずの勢いだったので、髪も乾かさずにコンビニに行きました。消毒液は無かったのですが絆創膏とティッシュを持ってレジに行くと、血だらけの親指を見た店員が、「こちらの方、今すぐお使いになられますか?」と聞いてきました。気が利くじゃん、じゃあここで箱を開けて傷口に・・・

いやいやいや、お気遣いは非常にありがたいのですが突然の雨に降られて買ったビニール傘じゃ無いんだからその質問はおかしかろう?

別に悪いことをしたわけじゃないのに、凄く卑屈な笑顔で『大丈夫ですよ、家に帰ってから使いますから。』と言い家に帰ったのですが、消毒液を得ることは出来なかったので、ハードボイルドの世界に浸ろうと家の中にある一番アルコール度数の高い飲み物(引越し祝いで貰った飲み掛けの神の河)を口に含み傷口に噴射したところ、今日一番の悲鳴がそこにはありました。親指が動かない。